Column

ランドセルについての考察

モギカバン社長 茂木 理亨

理想のランドセルとは・・・(大きさ+軽さ+丈夫さ)近年、小学生の持ち物は以前に比べて格段に増えています。
タブレットが導入されたにもかかわらず、教科書などの教材はさほど減っていない。
また、夏場に限らず、年中水筒を持参するのも一般的になっているようです。他にも体育着や給食袋、上履きを持ち帰る日もあり、、、
そこで、ランドセルに求められるのは、「大きさ」、大容量であるということになります。
また量が増えるとおのずと重量も増えるので、ランドセル自体の「軽さ」も同時に求められます。
さらに、6年間の使用に耐えうる「丈夫さ」も重要なのは言うまでもなく・・・。
しかし残念ながら、これら3要素「大きさ」「軽さ」「丈夫さ」を、すべて満足いくレベルで実現することは不可能と言わざるを得ません。
なぜなら、大きくしようとすれば重たくなる。
軽くしようとすれば、丈夫さに問題が生じる。
やはり丈夫に造ろうとすればするほど重たくなる。
結論を申し上げるなら、どれも大事な要素なので、理想は、「バランスの良いランドセル」ということになると思われます。
ところが「バランスの良い」というのも難しく、なぜならそれはその人によって重視するところが異なるからです。
うちの子は体格が大きいから、多少重たくても大きい方が良い。
逆に小柄だから、大きさよりも軽さを優先したい。
選ぶ基準はそれぞれなのです。

ポリエステル製リュックタイプのものはどうか?

一見、すべての要素を満たしているかのように見えますが、実は問題もあります。ランドセルのように成形がしっかりしていないので、それによって肩からずり落ちてしまい、どうしても背負ったときに後ろ(お尻の方)に下がってしまう傾向があります。(すべてがそうとは言い切れませんが、そのようなタイプが散見されます)それを防ぐために、肩ベルトの前で止める「チェストベルト」が必要になるケースが多いようです。それで解決できればよいのですが、はたしてどうでしょうか?
背負ったときに一番負荷がかからないのは、背中とランドセルの間に隙間が開いていないこと。そして、ランドセルとお子様の肩の高さが一緒で、なおかつ腰の上にランドセルがのっている状態です。そうすることで、体全体に重さが分散され、長い時間背負うことができます。一方、ナイロン製のリュックは、ずり落ちると肩にすべての重量がかかってしまい、同じ重さでもとても重たく感じるので注意が必要かもしれません。
その点、やはり従来のランドセルは、モギでも採用している「ウイング背カン」のような立ち上がり背カンによって、背負い安い状態を実現しています。長年、多くのランドセルメーカーが競って追求してきた機能はとても優れものなのです。

天然皮革の流通について

牛革はどこの牛ですか?と聞かれることがあります。その答えは、一概に言えないのですが、(その年によって仕入れる国が異なる場合がある)外国からの輸入には違いありません。以前は北米が多かったようですが、最近はオーストラリアやニュージーランドも増えているようです。元々、食用に育てた牛の副産物が皮(革)なので、食肉の輸入が増えれば自然と皮の輸入も増えるのだと思われます。
さて、産地はともかくとして、ランドセル業界のみならず国内で革を扱う業界、例えば家具メーカー、自動車の革シートメーカーなどにとって、昨今の大きな問題は、その流通量が減少していることです。品質の良い比較的安価な革が輸入できなくなってきているのです。その理由は、この20~30年のアジア諸国の経済成長により高級志向が高まり、牛革の需要が増していることによるようです。
ランドセルは日本固有のもの、しかも天然皮革はまだまだ欠かせない素材なのですが、まさかグローバル経済の影響を受けているとは驚きです。

天然皮革(牛革・コードバン)のランドセルの利点は?

ここ数年間のリサーチ(トレンド分析)によると、年々人工皮革製のランドセルが増えてきているという結果が出ています。逆に天然皮革は減少している。その理由の一つには「革は重たい」ということが挙げられると思われます。確かに人工皮革に比べると素材そのものの重量は重たいのは確かです。そして、人工皮革は軽いだけではなく、その表面は傷がつきにくく、水も弾きますし、もはや言うことはありません。
となればいっそのこと、すべて人工皮革で良いのではないか?ちょっとまってください、そう考えるのは早計です。逆に、天然皮革の良さはなんでしょうか?よく言われるのは、使い込むほどに味わいが増す、とか本物の良さがあるなど・・・確かにそれもそうかもしれませんが、私の見解はちょっと違います。天然皮革にあって人工皮革にないもの、それは、「コシ、ハリがある」「堅い」ということです。これはそのように革を加工(鞣して)しているからなのですが、堅いということは箱型のランドセルにとってはもってこいです。教科書やノートを入れる上で、袋状ではなく箱型は理に叶っている。それには堅い素材が適しているのです。
そこで、人工皮革はどうかというと、革に比べると断然柔らかい。つまり、しっかりとした箱型を作るためには、相応の芯材を入れて成形しなくてはならないのです。となると、どんな芯材をどこにどう入れるのか?それによって丈夫さに差が出てきます。つまり、天然皮革のランドセルなら、ある程度丈夫さについては安心ですが、人工皮革の場合は、芯材がどうか、個体によって丈夫さは異なってくるので選択は難しいのかもしれません。

多種多彩なランドセルについて

わたしの子供の頃(昭和40~50年代)、いやその後しばらくは黒と赤しかなく、たまに濃紺かこげ茶が店先に並んでいたのを覚えています。素材は、コードバン、牛革が主流でしたが、人工皮革が出始めたころでした。もしかしたら、下の子が上の子のお下がりを使うのも珍しくはなかったのかもしれません。
それが今やどうでしょう?少子化に反して、ランドセルは多種多彩でまさに百花繚乱の様相を呈しています。これには賛否両論あるのは承知しています。あくまでも学用品なのだから、ファッション性は必要ないとか、昔のように黒と赤だけにすればもっと安く作れるのではないか?などなど。
ですが、時代は移り変わってきています。お子様にとって、日々小学校に通うのが楽しくなる、テンションが上がるランドセルは「アリ」だと思うのです。それに、親子でラン活なんていうのも、後から振り返ると良い思い出になると思いますし、もちろん祖父祖母様にとっても、可愛いお孫さんの飛び切りの笑顔は何よりの喜びではないでしょうか。

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